ダートマイル路線の精鋭馬が全国から集結「かきつばた記念」! 文/坂田博昭  新年早々の名古屋競馬は、若手騎手活躍の話題に湧いた。まずは1月3日、昨年4月デビューの望月洵輝騎手が地方競馬通算100勝を達成した。デビューからわずか270日での達成は、飛田愛斗騎手(佐賀)の持つ268日の記録には及ばなかったものの、それに次ぐ速さ。「(見習いの減量がなくなる)これからが先輩たちと対等の勝負。不安もあるが、リーディング1位と重賞勝利を目指して頑張りたい」と、更なる活躍を誓った。  また1月14日には、塚本征吾騎手が地方競馬通算500勝を達成した。こちらはデビューから1367日と、記録が残る1973年以降最速。騎乗可能な笠松にも熱心に通い、昨年1年間の騎乗数が1581と日本で最もハードワーク≠ネ騎手となった。その甲斐もあり、昨年は東海リーディング3位、名古屋リーディングで2位と、まさに飛躍≠ニ思わせる活躍を遂げた。「後輩が伸びてきている。彼らに負けないように、そして手本になるような活躍をしたい」とあくまでも謙虚に語るところも、周囲の信頼を集める要因なのだろう。  他にも、1月4日に行われた名古屋競馬新年最初の重賞「名古屋記念」(1500m)では、細川智史騎手がメルト(牡6・角田輝也厩舎)を勝利に導いた。「難しい馬の力を、騎手が上手く引き出してくれた」(角田輝也調教師)という好プレー。細川騎手の存在感が光った一戦だった。こうした年初からの若手騎手の活躍に中堅ベテラン勢が発憤するなら、今年の名古屋競馬はよりエキサイティングなプレーが展開されていくことだろう。  名古屋競馬では、明け3歳の若い馬にも活きのいい素材が揃っている。1月16日に行われた重賞「新春ペガサスカップ」(1700m)では、カワテンマックス(牡3・角田輝也厩舎)が昨年12月のゴールドウィング賞に続く2つめのタイトルを獲得。頭ひとつリードした感があるが、昨秋のネクストスター名古屋を勝ったエレインアスティ(牝3・今津博之厩舎)、準重賞勝利のあるケイズレーヴ(牡3・榎屋充厩舎)やアップショウグン(牡3・塚田隆男厩舎)など、この世代は名古屋デビューの馬たちの活躍がめざましく、粒も揃っている。これに、暮れの笠松・ライデンリーダー記念を勝ち、新春ペガサスカップでも僅差2着した門別からの転入馬ページェント(牡3・塚田隆男厩舎)らを加え、今年の名古屋3歳馬戦線は相当ハイレベル。各馬の今後の動向と活躍から目が離せない。  その3歳戦でまず注目されるのは、2月12日(水)に行われる重賞「スプリングカップ」(1700m/西日本地区交流)。過去にはセブンカラーズやニュータウンガール、カツゲキキトキトといった馬たちがこのレースを制し、その後のダービー$ァ覇への道筋をつけた。名古屋ではこの世代初となる他地区との交流競走でもあり、全国レベルとの距離感≠烽アこで推し量ることができるだろう。  古馬戦に目を転じると、2月24日(振月)に行われるダートグレード競走「かきつばた記念(JpnV)」(1500m)が、この冬最大のハイライトとなる。昨年、全国的なレース体系の整備により、大型連休の時期からこの2月に移設。リニューアル元年となった昨年はサンライズホーク(JRA)が勝ってダートグレード3連勝を決めたが、4着に敗れたシャマル(JRA)はこのレースをステップとして調子を上げ、春には船橋・かしわ記念(JpnT)でダートマイルの頂点に立った。同時期に行われるJRAのフェブラリーS(GT)と並び、このかきつばた記念もダートマイル路線の主要競走のひとつとして明確に位置づけられたと言えるだろう。また、昨年は南関東からの遠征馬スマイルウィ(船橋)が3着に健闘。東西から交通至便な名古屋競馬場で行われるダートグレードへ、今年も全国の地方競馬からトップホースが参戦してくることを期待したい。  ナイターで行われるかきつばた記念を含め、3月まではナイター開催と薄暮開催が混在する。いずれにしても、メインレースが行われるのは陽が落ちたあと。名古屋本場でレースを楽しむ方は防寒を万全に、遠方からインターネット投票や場外発売所で参加される方はレース発走時刻に留意しながらレースをお楽しみいただきたい。 <写真> 望月洵輝騎手 塚本征吾騎手 名古屋記念を制したメルトと細川智史騎手 カワテンマックス 2025.1.16 新春ペガサスカップ